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The Strokes - The New Abnormal

The Strokes 7年ぶりの最新作

2020年4月10日にリリースされました。
The Strokes(以下、ストロークス)の新作です。
「The New Abnormal」
私はApple Musicで聴きました。
皆さんはお聴きになりましたかね。


The New Abnormal

The New Abnormal

  • 発売日: 2020/04/10
  • メディア: CD

■前置き(ストロークスについて)

ストロークスアメリカのバンドです。
2001年に「Is This It」という1stアルバムを出し、それをきっかけに2000年代バンドの代表格として活動しています。
1stでのストロークスは、60年代のロックやかつてガレージロックと言われた、武骨でバンド主義の強い過去のバンドスタイルを踏襲していました。
1stが出る前にRadioheadが「Kid A」という非ロックのダークで実験的なサウンドを打ち出しました。
そうしたロックが非常に難解でダークなものだった音楽業界に現れた新しくも懐かしいサウンドでした。
また彼ら自身がモデルのようないで立ちで、ファッション含めて人気があります。
1stアルバムと、2ndアルバムの「Room on Fire」を最高傑作に上げる人が多いです。
ただ、私の思う最高傑作は5thアルバムの「Comedown Machine」です。
当時、アルバム発売時に購入した事など、思い出補正も込みですが、全曲をすごくリピートして聴きました。
まずアルバムのバランスが最高に良い、そしてどの曲もメロディが活きている、特に2曲目「All the Time」4曲目「Welcome to Japan」6曲目「50/50」8曲目「Partners In Crime」10曲目「Happy Ending」が素晴らしい。
曲順的に1曲置きに、とんでもない名曲が来る最高の構成でした。
これ以上どこに行くこともできないロックの成れの果てを感じました。
もちろん良い意味です、彼らは過去の1st、2nd以上が生まれないという市場評価を覆して今作こそこれ以上ない、という印象の素晴らしいアルバムを放ったのです。


そして6thアルバムが今作となります。
なので私にとっては最高傑作が更新されるかもしれない可能性を秘めたアルバム、それが「The New Abnormal」なのです。
本記事では、アルバムを聴いた個人的感想を述べていこうと思います。


■各曲の感想

①The Adults Are Talking
前作「Comedown Machine」からの延長上であるように感じます。
私はストロークスは「小品的な曲」にこそ魅力があると思っています。
この曲はその魅力が十分にあります。


②Selfless
3分42秒の曲の中で、ラスト1分から非常にエモーショナルになります。
いつからかジュリアンはボーカルに裏声を乗せるようになりました。
この曲はそのボーカルとしての幅が活きています。


③Brooklyn Bridge to Chorus
硬派で格好良いロックソングです。
タイトなドラムパターン、サビでギターもリズムに相乗りする感じが、まさしくストロークス印のロックです。
シンセ音を聞くと3rd、4th当たりのスタイルも踏襲されています。


この曲に限らず、ストロークスの魅力は非常に不思議な所にあります。
一言でいえば、ストロークス以外がやると恐らく格好悪いんです。
このバンドが志向する音楽性は、なんだか大味・大仰な所な部分があります。
故にメロディが単純だったり、ギャグなんじゃないかっていうものも含まれていたりします。
しかし時折、ギターが凄く全年代が懐かしく感じるキュンとくる旋律を弾いたり、ボーカルの嘆きに心を持ってかれる事があります。
そしてそれこそが00年代以降のロックのスタイルなのではないかと、リスナーに感じさせる魔法があるのです。


バンド自体も完全に意識して演れている部分とそうでない部分がありそうで、故に各アルバムでリスナーとの距離感が微妙にズレたりする事もあります。
ストロークスは解散の危機を囁かれてから、そのバンドの危機的状況と音楽の擦れた感じの相性が非常に良くなっていると感じます。
その点も加味されて、私の中での最高傑作は「Comedown Machine」なのかもしれません。


④Bad Decision
①~③までは盛り上がりはあるものの、少しダークな印象。
こちらは歌詞はともかく曲調はギター中心にカラッとしています。
サビも分かりやすく、曲タイトルを連呼します。
前述したギターのキュンとくる旋律が十分に聴けます。
名曲です。


⑤Eternal Summer
う~ん、ダサ曲枠ですね(笑)
その上に長くてダラダラしています。
前作にも「One Way Trigger」という曲があります。
ジュリアンボーカルの裏声主張が強めになった時、ダサ曲枠が出来上がります。
この曲では一部で裏声でなくなりますが、メロディも非常にダサい。
個人的にはこの曲は「ダサ曲」→「ストロークス印ソング」への進化が出来ていないと感じています。
(私は「One Way Trigger」も同様の感想を持っています…)


⑥At the Door
非常にシンプル骨太な構成です。
ジュリアンの声だけでロックを表現してやる、という位の。
というか、これはジュリアンのソロ作ぽいです。
(ジュリアンはソロでもアルバムを出しています)
私の好みではありません、単純にメロディが弱いからです。
実験なり遊びなりってメロディが強固である程にやれる余地が生まれると思っています。
この曲は余地が少ないかな。


⑦Why Are Sunday's So Depressing
この曲は⑤⑥よりは好きです。
ただどうも、ボーカルのダルさが、聴く方にダルいだけに聞こえる臨界点といった感じです。
ながら聴きには適していますが…。


⑧Not the Same Anymore
ボーカルが幾分ソリッドな印象です。
メロディも幾分活きています。
演出も見事です、全体的に統制が取れています。


⑨Ode to the Mets
この曲が新しいストロークスの在り方な気がしました。
ラストにミドルテンポなロックな大曲を配置するのは、昔のバンドではよくありました。
例えばPrinceの「Purple Rain」、例えばOasisの「Morning Glory」などなど。
この曲はそんな役割を見事に果たしていると思います。
私は前述したようにストロークスの「小品的な曲」が好きです。
なので全曲がこの曲のようになる事は好ましくないですが、アルバムで1曲あると全体バランスが非常に良いと感じます。



■総評

あくまで個人的な感想です。
私は以前として5thアルバム「Comedown Machine」の方が好きです。
①~④までの流れは見事でしたが、⑤~⑧で勢いが失速したように思いました。
明らかに曲の質が落ちている上、このアルバムは1曲が長尺(これまでのストロークスと比較して)である事も流れを落としているように思います。
ただ、⑨ではそれを帳消しにするような良い曲が出てきました。
以上をもって、ストロークスの作品としては沢山聞き込める良作品には違いありません。
7thアルバムが出るなら是非またレビューさせて頂きたいと思います。
それにしても、フジロックは開催するんですかねぇ…。
ストロークスは今年のフジロックに参加予定です。