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The Rolling Stones - December’s Children

私の中のストーンズ

ローリング・ストーンズ
言わずと知れたキャリア50年を超えたイギリスのスーパーバンドです。
与えた影響は数知れず、だれもが聞いたことのあるヒット曲も多いです。
長いキャリアのため、アルバムもすごい枚数存在します。
しかも、1960年代前半といえば、ビートルズも含めて正規版が英国版・米国版と複数出ている事もありややこしい。
ベスト盤も多いし、非正規版やバンドが承認せずレコード会社がリリースした作品も数多いです。

一般的にストーンズの全盛期は、1968年~1974年頃と言われています。
アルバムとしては、
・Beggars Banquet(ベガーズ・バンケット
・Let It Bleed(レット・イット・ブリード)
・Sticky Fingers(スティッキー・フィンガーズ
Exile on Main St.(メイン・ストリートのならず者)
・Goats Head Soup(山羊の頭のスープ)
・It’s Only Rock'n'Roll(イッツ・オンリー・ロックン・ロール)

の6作品にあたります。
例にもれず、私にとっても最も好きな時代です。
私にとっての最高傑作はレット・イット・ブリード、
次点がメイン・ストリートのならず者です。

一方であんまり語られないのが結成初期。
ヒット曲は魅力的であるものの、アルバムとして聞くのは少し退屈さを感じてしまいます。
つまり、多くの後追いリスナーはこの時期のストーンズをベスト盤で聞き流しているのが実情だと思います。
(私もその一人・・・)

やはりそれじゃ良くないな、せっかくだからアルバム単位で聞いてみたいな、
そう思い手をのばしたのが記事のタイトルにもある
・December's Children(ディッセンバーズ・チルドレン)
であります。

December's Childrenのアルバム紹介

December's Childrenは1965年に発表した米国版のアルバムです。

このアルバムは基本的にイギリス版の「Out Of Our Heads」と曲目の重複が多いです。
(「She Said "Yeah"」「Talkin' Bout You」「I'm Free」「Gotta Get Away」)
さらにこの時期のシングル曲が収録されています。
(「Get Off My Cloud」「As Tears Go By」)
かの有名な「Satisfaction」はこれよりも前の作品に入っております。
今作の「Get Off My Cloud」は「Satisfaction」に続く全米No1シングルとなっています。

アルバムは全12曲中、6曲がカバー曲です。

同年、ライバルのビートルズは「Help!」をリリースしています。
改めて、ビートルズの創造性はやばいな…という印象もあります。
ストーンズビートルズ解散時期頃に全盛期を迎えるので、この時点では後塵を拝す形だったのではないでしょうか。

December's Childrenの私の印象

このアルバムは非常に「獰猛」なスタートを切ります。
「She Said ”Yeah”」です。
オリジナルはラリー・ウィリアムズの楽曲。
オリジナルよりも、入り出しからノイジー
ミック・ジャガーの叫ぶ「Yeah」の説得力たるや。
この人のヴォーカルは昔から全く変わっておりません。
演奏も超ハイテンポ、「メイン・ストリートのならず者」に入ってても良いテイストです。

次の曲「Talking ’Bout You」はこのアルバム中の最高傑作だと思っています。
オリジナルはチャック・ベリー
今度はオリジナルよりもスローテンポです。
この曲のテイストも「メイン~」に入っててもおかしくない。
原曲が持つセンスが「メイン~」に適しているのではなく、ストーンズによるカバーセンスが、この曲をストーンズ印に仕立てている印象です。
ストーンズ全盛期が特に得意とした「気怠さ」が出ている、カバー曲とあなどるなかれ、間違いなく傑作です。

「You Better Move On」は非常にたんたんとした印象。
このアルバムは半分が同様な印象を受けます。
この曲の冒頭の歌詞
「愛する婚約者と別れろなんて僕に言わせないで」
独特な歌詞です。
「君」と称する人が婚約する「彼女」を「僕」は好いている、「君」といるよりも「僕」といたほうが「彼女」にはお似合いだ、だから立ち去りなさい、というすっごい自分勝手な(笑)歌詞です。

「Look What You’ve Done」は哀愁あるブルースソング。
前曲の「僕」が結局振られてしまったんだろうか、という気持ちで聞くと面白いです。
テンポは似ています。

「The Singer Not The Song」ストーンズの得意なバラードテンポの曲調を持っています。
正直、メロディは大した曲ではないと思います。
ただこういう純朴な曲を歌わせると妙にはまるのがミック・ジャガーの声です。

「Route66」はなぜか唐突にライブ曲になります。
このアルバムは、バンドメンバーも後年語っているように、寄せ集め的な作品なのかもしれません。
当時の熱を感じる点では楽しいですが、アルバムのトータル性をいささか欠いています。
恐らくアルバムのトータル性よりもこの時期はアメリカ制覇が優先されていたのではないでしょうか。

「Get Off My Cloud」は、私は前から知っていたヒット曲。
確かにヒットする要素を持っています。
どうやらボブ・ディランの「Like A Rolling Stone」に触発されてサビの力強い歌い方に仕上がったそうです。
ただ「Satisfaction」や後年の「Paint It Black」に比べると少し知名度は落ちますね。

「I'm Free」は、タイトルを「フリ~」と伸びやかに歌うところが好きです。
ビートルズが歌っていてもおかしくない曲調ですが、「フリ~」のヒネた感じはストーンズですねぇ。

「As Tears Go By」は非常に大人しめのバラード。
ストリングスの入り方が絶妙です、それがこの曲の肝でしょう。
地味ながら良い曲です。
同年のビートルズの大名曲「Yesterday」と似た雰囲気があります。

「Gotta Get Away」も不思議と静かな曲です。
このアルバムは獰猛なスタートを切った割には、静かな、淡々とした曲が多いです。
少しだけ退屈ですが、こんな曲があっても良いです、アルバムですもの。
ちなみに「As Tears Go By」のB面としてシングルリリースされたようです。

Blue Turns To Greyも、前曲とほぼ同じ印象で始まる静かな曲。
静かであるし、渋い。
最後に「ブルーはグレイになる」というフレーズのリフレインが印象的。

「I'm Moving On」は「Route 66」に続きライブ曲です。
熱狂が伝わってきます、が当のバンドメンバーの声は非常に冷静に聞こえます。
このあたりの余裕感がストーンズの大物たる所でしょう。
若い頃から、これだけの事は余裕でやってのける風格があります。

全12曲29分という非常にコンパクトな1枚はあっという間に終わってしまいます。
が、1960年代ど真ん中のロック原初的な味わい深い作品です。
先ほども書きましたが、自作曲のみならずカバー曲の「Talkin 'Bout You」が素晴らしいです。
最後にこの曲を紹介します。
全盛期ストーンズに通じるスタイルが最高です。


talkin' about you