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MILES DAVIS - KIND OF BLUE

■唯一無二の大名盤

Miles Davisの「The Complete Columbia Album Collection」を持っています。
BOXセットで、なんと…53枚組です。
Miles Davisのコロンビア時代のアルバムをほぼほぼ網羅したもので、有名な「Kind Of Blue」「My Funny Valentine」「Nefertiti」「Bitches Brew」「On The Corner」「You're Under Arrest」も入っています。
「Birth Of The Cool」や「Cookin'」、「TuTu」は入ってません。
というか、ジャズに疎い自分ですら、こんなにも作品名を知っているのか、と驚愕としました、多すぎるよ代表作…。


で、このBoxの1作目から順にMiles Davis作品を聞いていっていました。
今回、ようやく「Kind Of Blue」にたどり着きました。
1959年の作品、全5曲。

KIND OF BLUE

KIND OF BLUE

  • アーティスト:DAVIS, MILES
  • 発売日: 2009/02/06
  • メディア: CD


順に聞くと、より強調される本作品の圧倒的完成度
名盤だからという前提でなるべく聴かないようにしたつもりですが、あまりにも到達し過ぎている完璧な作品です。


再生した時の、ビルエヴァンスのピアノイントロから空気感が異なる。
そのままSo Whatの有名なリフに入ります。
前述したように、私はジャズに疎いです、加えて音楽理論に疎い。
その耳で聞くので技巧面での凄さを感じる事は難しいはずなのですが、So Whatからは、1つ1つのフレーズがこれ以外ないという配置をしているように思えてくるのです。
熱い訳でも無い、冷めてる訳でも無い、色々な方が述べているように「アートである」と表現するしかない音響空間と楽器演奏なのです。
これはもう聴くしかない、もしも音が絵のように額に飾られて美術館に置かれるなら、という想像をしてしまいます。


ジャズ畑の人に怒られそうですが、自分はジャズにある種退屈と感じる時があります。
プレイヤーが楽しいと思って演奏している物に共感できなかったり、まとまりを感じられない事があります。
ジャズはアルバムで聴くと特にそう思う事があり、曲の構成に納得がいかなかったり、カバーするスタンダード曲に必然性を全く感じなかったりする訳です。
しかし、「Kind Of Blue」、これはあっという間にアルバムが終えてしまいます。
先に述べた1曲目のSo Whatから、5曲目のFlamenco Sketchesまで。
ロックやファンクが一番好きだけどこのアルバムに匹敵したアートと呼ばれる作品は果たしてあるのか…。
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中山康樹著「新マイルスを聴け」を持っています。
その中で「Kind Of Blue」についてこう述べています。


これこそ、20世紀のジャズが到達しえた最高峰なのだ。ジャズを無人島に持っていくなら、この1枚だけでいい。
これこそ、モダン・ジャズのエッセンスであり、究極の名演奏集である。
~~~
しかしジャズとは、情けない音楽である。
100年にも及ぶ歴史のなかで、これ1枚しか生み出せなかったのだ。
「カインド・オブ・ブルー」に匹敵する作品は、ジャズのどこを切っても、出てこない。
ジャズよ、何をやっていたのだ。
もしマイルスが「カインド・オブ・ブルー」を残していなかったら、どうしていたのだ。
ホントにもう、何から何まで、マイルスにおんぶに抱っこなのである。
これがなければ、ジャズの素晴らしさを世界に、後世に伝える作品は、無に等しいものになっていたのだ。
「カインド・オブ・ブルー」、このたった1枚のために、ジャズは未来永劫、胸を張って生きていけるのである。

新・マイルスを聴け!!

新・マイルスを聴け!!


かなり強い文章です。
著者は大衆音楽全般に詳しく、ジャズはそれこそマイルス以外も山ほど聴いたはずです。
ジャズプレイヤーで言えばこのアルバムに参加した方を除いても高名な人は多くいるのですが、それでも上記の文章を書かざるを得ないのが本作です。
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もし万が一、45分程度のお手すき時間があるならば、そしてその時間を最も有意義に過ごしたいというのであれば、この作品を掛けて、その前にただ座って浸るというのも一案です。
誰かにとって無人島に持っていくモノとはそれ程価値のあるものなのです。
買いです。


ちなみに、Boxセットを順に聴く中で、「Kind Of Blue」の他に優れていると(主観的に)感じた作品は「Porgy And Bess」です、これも1959年作品、充実期ですね。