STEVIE WONDER - INNERVISIONS
■最高傑作
スティーヴィー・ワンダーの最高傑作を紹介します。
1973年発表の「インナーヴィジョンズ」です。
- アーティスト:スティーヴィー・ワンダー
- 発売日: 2018/06/20
- メディア: CD
私は音楽を聴くのが好きで色々な洋楽CDを聞いてきました。
よくある話題で「無人島にCD5枚持っていけるとしたら」ってありますが、私の思う5枚の内の1枚に入ります。
それほど高い完成度を誇るアルバムです。
収録曲9曲、全てにおいて無駄が無いです。
恐ろしい事に、スティーヴィー・ワンダーはこれ程の作品を残しておきながら、この作品に比肩する評価を受けている作品が少なくとも3作品残しています。
時系列順で紹介すると、
1972年の「トーキング・ブック」
1973年の「インナーヴィジョンズ」
1974年の「ファースト・フィナーレ」
1976年の2枚組「キー・オブ・ライフ」
人によってスティーヴィー・ワンダーの最高傑作は変わります。
私の中でも、この作品と「ファースト・フィナーレ」は揺らぐ部分があります。
5年の間に歴史に残る作品を4作品残したわけです。
しかも作曲や作詞、編曲などのコントロールを全て握り、質の高い作品を生みました。
■何が凄いのか?
私の感想メインのスティーヴィー・ワンダーの凄さ語りをします。
よく「時代の先をいく音楽」という言葉があります。
ただスティーヴィー・ワンダーはそういう類には感じません。
私は、
スティーヴィー・ワンダーが生んだ音楽は、スティーヴィー・ワンダーがいなければ生まれなかった音楽なんだ
と思っています。
彼の作曲する音は通常ではありません。
特に上記4作品で発表された曲から、類似した作品が浮かびません。
まるでポップでなく、どうしたらこれを曲として完成させられるのか、と思う進行をしています。
一方で、彼の歌唱も通常ではありません。
自分で作曲した異様な曲進行を、自分の歌唱でねじ伏せるようにしてポップで成り立たせているのです。
例えば、
Stevie Wonder - Don't You Worry 'Bout a Thing (Lyrics)
「Don't You Worry 'Bout a Thing」邦題「くよくよするなよ」。
何か素直じゃない曲ですよね。
それなのにセンスでポップソングとして成り立たせている。
この曲が無かったら洋楽は5・10年進歩が遅れていた、というのでは無い気がします。
スティーヴィー・ワンダーは誰も想像しない曲を書いたのです。
このアルバムに収録された9曲は、そのようなセンスで成り立っています。
「時代の先を行く音楽」は時代と共に追いつかれ、後に古びます。
しかし「インナーヴィジョンズ」は永遠に古びません。
私が無人島に流れ着き、50年経ってから救出されても、私はこの作品を愛し続けられるのです。
■好きな1曲
私は、アーティストが「とんでもない1作を作ってやるぞ」という意気込みを持って作った作品が好きです。
「インナーヴィジョンズ」の曲は、それぞれがヒリヒリと研ぎ澄まされています。
社会派な歌詞もさることながら、スティーヴィー・ワンダーの祈りや怒りが、曲に現れているのです。
私が最も好きな曲は、
Stevie Wonder - Jesus Children of America
「Jesus Children of America」邦題「神の子供たち」。
あんまりこの曲を一番好きという人は知らないです。
私はアルバムの中で、この曲が一番ヒリヒリしました。
最も偉大なアーティストの最も偉大な作品、間違いなく買いです。
- アーティスト:スティーヴィー・ワンダー
- 発売日: 2018/06/20
- メディア: CD